障害があっても夢は叶えられる

いろんな反対を押し切り、自分で勉強しながら開業資金を貯め、『自分でお店が持てたことを親に報告したい』という想いでオープンさせた喫茶店コロロン。
坂田知嘉子の物語。
所在地:札幌市白石区栄通19丁目1-5 グローリアビル86 2階
営業時間:12:00~19:30(19:00ラストオーダー)
定休日:木曜日

障害があってもお店が持てる

診断名は知的障害と統合失調症予備群

私が頑張ることで、障害のある当事者の方やその家族の方々の希望になりたい。
大変なことも多いけど、頑張ればやれないことなんてない。
ただ『喫茶店コロロン』は、2021年の2月で閉店することが決まりました。

生い立ち

私は北海道の小樽で生まれました。
家族は両親と兄の4人家族。
小さいころから明るく元気な子供で、虫取りをしたり野球に混ざったり、特に運動が得意だったわけではないけど、とにかく活発な子だった。

小学校に進学し学年が上がるに連れ、段々と周囲とうまくいかなくなることが多くなった。
勉強に困難を感じたり、周りと同じようにできないことが出てきたり。
自分に自信が持てなくなってきていました。
私は中学校の途中で特別支援級のある学校に転校します。

高校には進学できず、和裁の専門学校に進学しました。
高等養護学校などの選択肢もあったが、少しでも他の人たちと同じような学校にいってみたかった。
特に和裁が得意だったわけでもなかったこともあり、うまくいかないことが重なるに連れて不安も強くなり、専門学校時代は外に出るのが怖く感じることも多くなった。
そんな不安も抱えながら、私はなんとか専門学校を卒業し仕事に就きました。

就職はしたけれど…

ビルの清掃や飲み屋、新聞配達やファーストフード店など、いろいろな仕事(アルバイト)に挑戦してきました。
けれど仕事がうまくいかなかったり、人間関係がうまくいかなかったりで仕事を続けることができず、私は家に引きこもるようになってしまいます。
引きこもりの期間が長くなるに連れ、そんな私を心配した兄の勧めで病院を受診し、いろいろな検査を受けて知的障害という診断がつき、障害者手帳を取得しました。

障害があってもちゃんと働きたい。
そのような想いもあり、その後、私は介護職に挑戦します。
そこでは6年間勤め、ホームヘルパー1級まで取得しました。
しかし仕事でうまくいかないことがあったり、また私自身に障害があることもあってか、段々と周囲の反応が変わっていってしまい、精神的に仕事を続けるのが難しくなってしまいました。

そこで出会ったのが、福祉的就労(就労継続支援)という働き方でした。
私の障害を理解してくれるスタッフのもとで就労の機会を得る。
私はそこでクリーニングやおしぼりの袋詰めといった仕事をしたり、飲食店で調理や接客をしたり、いろいろな仕事に挑戦してきました。

いろいろな仕事を経験する中でおもしろかったのが「コーヒー」と「接客」でした。
コーヒーを淹れているときの香りと味、そして自分がサービスを提供することで返ってくるお客さんの反応。
いつしか、私は自分でお店を持ってみたいという思いが芽生えるようになりました。

開業と家族

お店を持ちたいという気持ちが芽生えてから、私はいつかの開業に向けてお金を貯めることと、より開業に向けて運営の勉強をしたいという気持ちで、「からだにいいかふぇ」さんという就労継続支援事業所で働くことにしました。
ここではカフェでの接客や調理、お菓子の製造などを経験させてもらいながら、開業についても相談したくさんのアドバイスをもらうことができました。
開業に必要なこと、また運営に関する知識と厳しさ、またいま私に足りないものなど。
代表の方がいつも私に課題を設定してくれ、それを乗り越えることで開業に繋がるという気持ちでその階段をひとつひとつ登ってきました。

私が開業に向けて準備を始めると同じく、両親に変化が起き始めます。
母親の認知症が進み、私のことをあまり認識できなくなってきてしまったのです。

親に自分が頑張って自立した姿を見せたい
そんな報告がしたい


より一層、開業に向けての気持ちが強くなります。
そんな最中、父が病気で急逝してしまったのです。
いよいよ開業に向けて動き出そう。
この出来事が私の背中を押すキッカケとなりました。

いざ開業に向けて動こうとすると、様々な反対がありました。
私の生活面を心配してくれる相談員さんや、不動産会社の方からもなかなか難しいのではないかというようなことも言われました。
そんな私を支えてくれたのが、からだにいいかふぇさんの代表でした。

「飲食店なんて9割がうまくいかないと言われている。そんなに難しい世界なんだから、障害者だからというのがうまくいかない理由にはならない」

私は周囲の声を振り切り、自分でこれまで貯めてきたお金だけで開業できるような物件を探し、2020年5月、ついに『喫茶店コロロン』を開業するに至りました。
正直、母はどう思っているのかもわかりませんが、まずはひとつ自分でお店を持つことができたという報告をするという目的を達成することができました。

私の失敗とコロナ…

自分一人で開業までできたのはよかったのですが、何をするにも初めてで失敗もたくさんありました。
できるだけ多くのお客さんに来てもらいたいという思いから、インターネット上での広告の契約をしたり、チラシのポスティングを依頼してみたり、クレジットなどの支払い機能を充実させたり。

このコロナ禍での開業となってしまったこともあり、また自分一人で進めてきたこともあり相談できる相手もいなく、毎日お客さんが来てくれないことに対する不安から、少しでも集客に繋がるような提案には藁にもすがる思いで飛びついてしまいました。
しかし思った以上にコロナの影響は長く続いてしまっていて、これらの集客のために行った契約も、いまでは自分の首を絞めることになってしまいました。

固定費だけでも毎月十数万円。
これからの人生を考えた時に、全ての財産をここで使い切ってしまうわけにはいかない。

とても思い入れの強いお店であるからこそ非常に辛い決断でしたが、物件の契約のタイミングもあり、2021年2月末を持って喫茶店コロロンを閉店するという選択をしました。
でもこれは、コロロンの終わりではなく次のスタートのための選択です。

これから…

喫茶店コロロンを閉店してからのことはまだ未定ではあるのですが、いい物件があればお店を再スタートさせたり、間借りでカフェをやってみたり、決まった場所に訪問してコーヒーを淹れたりと、そんなことをいまは考えています。

私がこうやって活動をしていくことが、昔の私のようにいまの境遇で悩んだり困っている人の支えになってくれたら嬉しいと思っています。
だから私はこれからも挑戦していきたいと思っています。

障害があってもこういう選択肢もある

だから自分も大丈夫だって思えたり、また障害のあるお子さんを抱えている親御さんたちにとっても、自分の子供も大丈夫だって思ってもらえるような存在になりたい。

ただ自分ひとりで頑張ってみて、自分だけの力では限界があるというのもわかりました。
いくら自分でお店をオープンさせてみても、簡単にお客さんが来てくれる訳ではありません。

自分のために、
家族のために、
そして私と同じように障害のある人たちのために、

私ができること、好きなことで頑張り続けていきたい。

そんな私の挑戦に興味を持ってくれたり、少しでも応援したいと思ってくださる方がいらっしゃれば、下記の非公開グループに参加していただけると嬉しいです。
ここでは、日々のお店の様子や実際にお店に来てくださった方との情報、また今後のことについて決まったことなどを発信していきたいと思っています!

【100人プロジェクト】

こちらはご参加いただいた方だけが情報を見れる、facebookの非公開グループです。閉店までに100人のお客さんと思い出をつくりたいという想いで、プロジェクトに挑戦しています。
無料でご参加いただけますので、みなさまの参加をお待ちしています!

kororon

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